「停止条件」・「解除条件」などの「条件」の宅建試験出題頻度は10年に1度出るか出ないかです。
出題頻度は、低いので絶対押さえるべき項目ではありません。
しかし言葉の意味はほかの項目で頻繁に出てくるので、民法での失点をなくしたい方、民法で満点を狙う方はしっかり押さえましょう。
停止条件と解除条件
「停止条件」とは、ある条件が成就することより、法律行為の効力が発生するという条件のことです。
「解除条件」とは、ある条件が成就することにより、法律行為の効力が消滅するという条件のことです。
条件付き法律行為の各当事者は、条件の成否が未定の間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することは出来ません。
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
条件
「条件」とは、法律行為の効力の発生・消滅を将来に発生させるかどうか不確実な事実の成否にかからせるものをいいます。
条件には基本的に、「停止条件」と「解除条件」の二つに分けれれます。
停止条件
「停止条件」とは、ある条件が成就することより、法律行為の効力が発生するという条件のことです。
たとえば、Bは自分が持ってる土地が売れたら、Aの甲建物を買いますという契約をしました。
この契約は、Bの土地が売れたという事実が生じることにより、甲建物を購入するという法律行為の効力が発生します。
このような売買契約は、通常の売買と違って売買契約が成就するためには条件がついていることになります。
このような契約を、停止条件付き売買契約といいます。
民法127条1項
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
もし、土地が売れる前にBが死亡してしまった場合は、Bが有していた権利・義務は相続人に承継されます。
なので、Bが死亡しその相続人は、Bの停止条件付売買契約の買主としての地位を承継することができます。
民法 第129条
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
解除条件
「解除条件」とは、ある条件が成就することにより、法律行為の効力が消滅するという条件のことです。
たとえば、BはAが所有している乙建物を買うが、Bの土地が売れなかったら白紙にするという契約をしました。
この契約は、土地が売れなかったという事実が生じることにより、乙建物を購入するという法律行為の効力が消滅します。
このような契約を、解除条件付き売買契約といいます。
民法第127条2項
解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
条件付き権利の保護
条件の付いた契約などの法律行為の各当事者は、その条件が成否が未定の間は不安定な立場に立たされます。
なので、条件が成就することにより得られる利益は、民法上保護されています。
条件成否未定の間の保護
民法128条
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
どういうことかというと、たとえばBは土地が売れたら、Aの甲建物を買うという停止条件付き売買契約を結びました。
しかし、AはBの土地が売れるまで待てずにCに甲建物を売ってしまいました。
この場合は、Bは土地が売れたら甲建物を購入するという停止条件付契約を結び、条件が成就すれば甲建物を購入できたのに、Aの不法行為によってその利益を害されてしまいました。
なので、BはAに対して損害賠償請求をすることができます。
条件の成就の妨害
民法130条
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
たとえば、AがBと土地が売れたら乙建物を売るという停止条件付き売買契約をしたのにもかかわれず、Aは乙建物を売るのが嫌になって、Bの土地が売れるのを妨害しました。
このような場合は、AB間の停止条件付き甲建物売買契約が成就したとみなされ、Bは乙建物を取得することができます。
でも土地が売れているわけではないので、乙建物を取得するかしないか決めるのはBが選択することができます。